真白きあなた
今年もまたあなたに会えたね
小さな体で真っ直ぐに立ち
いつも太陽に向かって咲いているね
ギリシャ神話では
少年が湖に映った自分の美しさに恋をして
神はその姿を水仙に変えてしまったという
私もあなたの真白き姿を見て
なんだか恋をしてしまいそうだよ
(2月11日)
(2月12日)
聞かせておくれ
おまえ達 何を話しているんだい?
そんなに仲むつまじく ゆらゆらと
おまえ達 恋人かい?
愛を育んで 未来を夢みているのかい?
おまえ達 夫婦かい?
子どものこと 考えているのかい?
おまえ達 何を話しているんだい?
ねぇ 私にも聞かせておくれ
追憶
あなたは覚えていますか?
中学1年のバレンタインデー
バスケット部の部室の前でチョコを渡したね
練習途中に一度部室に戻って来たあなたに
チョコを渡したら驚いた顔をした
「 いつもお世話になっているから・・ 」 と
私は慌てて本命でないようなことを言った
先輩とは家が近すぎて
どうしても気持ちが伝えられなかった
でも校庭の片隅から
いつもバスケットの練習を見ていた
あなたの決めたシュートを今でも時々思い出す
今 幸せに暮らしていますか?
(2月13日)
(2月14日)
バレンタインデー
ビターな恋をしている彼女が選んだチョコは
スウィートなミルクチョコだった
メッセージカードにはたった一言
「 I LOVE YOU 」 と書いた
ずっと気持ちを伝えられずにいた
儚くて切ない片思いだった
駅のポストの横で待ち伏せしていた
「 もらってください 」
そう言って渡すと駆けて行った
角を曲がると涙が止まらなかった
あれから一年
彼女は台所でバレンタインのトリュフを作っている
ソファーではあの日の彼が新聞を読んでいる
春には新しい命が誕生する
(2月15日)
HELP
少しだけハートが疲れた日曜日
お気に入りのロッキングチェアーに揺られて
読みかけの本など読みましょう
活字が目に入らなくて 体はかなり重症
大好きなマグカップで
ミルクたっぷりのコーヒーを飲みましょう
ミルクの優しさが体に沁みる 心はかなり重症
ガラスのラックに可愛いグリーンを置いた
この子たちはたくさんの息を吹きかけてくれた
「 Help me 」 と叫んでいた私の心
この子たちに助けられてやっと落ち着いた
月曜日
休日は思いっきり朝寝坊できましたか?
自分の趣味を満喫できましたか?
家族との語らいを深めましたか?
美味しいものをお腹いっぱい食べましたか?
さあ 新しい一週間が始まった
二月も後半だ
また多忙な毎日が続く
新しいプロジェクトで仕事が始まる人
気がかりな課題を抱える人
仕事の山場を迎える人
それぞれが意気揚々と家を出た
月曜日の朝
ピンと張り詰めた緊張感が好きだ
(2月16日)
ギョリュウバイ ・ (2月17日)
ルビーの指輪
私が初めて指輪を買ったのがルビーの指輪だった
OL一年目の夏のボーナスを全部はたいて買った
その指輪は今も大切に宝石箱に入っている
他愛もない会話から尊敬していた上司が
「ルビーのようにキラキラしていて心根が可愛い」と
言ってくださった
バカな私はそのジョークを信じて指輪を買った
そしてお守りのように左手の中指にしていた
私には少し派手になってしまった青春の指輪
赤い小さな花を見るとその指輪に重ねてしまう
あの頃の私はとても輝いていた
神様に出会った
奈良町を歩いていてみやげもの屋さんで
小さな神様を見つけた
その神様は「チャンスの神様」と言って
いつも私たちのそばにいるらしいけれど
すれ違ったその時にすばやくつかまないと
通り過ぎていってしまうらしい
いつも目の前にチャンスがありながら
なかなか形に出来ないあなたと私
ひとつはあなたへのおみやげ
そしてひとつは私が持っていよう
小さな神様に出会えて希望が持てた
(2月18日)
(2月19日)
早春のカフェで
本町のオフィス街の小さなコーヒーショップ
郵便物を出しに出かける彼女と
外回りの彼がひとときここでお茶をする
ここは二人のシークレットカフェ
たった10分の語らいは二人には物足らないが
それでも笑顔いっぱいに愛を確かめ合う
得意先の意向でコストダウンされそうな商談
3月には2週間の海外出張
4月には大幅な人事異動
ただ彼の話を聞くだけの彼女
それだけでまた元気に出かけて行く彼
いつかきっと結ばれるであろう恋人たち
翼を休めて
長いフライトからまもなくあなたが帰る
昇り始めた朝陽をいっぱい浴びて
高度11000メートルの空を飛び続けた
何を想いながら飛んでいたのか
何を目指して飛んでいたのか
幾多の困難な条件を克服しながら
目的地に向かって飛び続けた
そのフライトに私たちの人生が重なる
生きている限り進まねばならぬ
さあ しばらくは翼を休めておくれ
私はあなたの聖母
いつもあなたの帰りをここで待っている
(2月20日)