鏡
あなたの心に私が映る
透明なあなたの心に私のすべてが映る
尊敬 慈愛 憧れ 友情 恋
すべての想いがあなたの鏡に映し出す
嫉妬 葛藤 失望 挫折 逃避
負の部分まであなたの鏡は克明に映し出す
たくさんの心が潜んでいて渦を巻く
これが人生
これが生きているということ
だから人間は素晴らしいのだと思う
(2月1日)
土鈴人形
仲良しと京都に行った
冬の京都は凍てつく寒さだ
お寺めぐりをして湯豆腐を食べて
しんしんとした寒さの中に身を置くと
自分に厳しくなれるような気がした
ふと立ち寄った工房で土鈴人形を作った
絵付けするとき手がふるえた
私の顔に似せて描いた
そしてもうひとつは私の心の中にある
あなたの顔を描いた
出来上がった土鈴人形を空高くふってみた
カラカラととても切ない音がした
(2月2日)
節分
今日は節分だ
どこの家庭でも豆まきが行われ鬼退治をする
大阪では恵方の方角を向いて 巻き寿司の丸かぶりをする
今年の恵方は東北東 巻き寿司は無言で食べなければいけない
イワシを焼いて食べそのイワシの頭にヒイラギをさして
玄関の戸口に置く
鬼はイワシの生臭ささと ヒイラギのトゲが嫌いでやって来ない
「鬼は〜外! 福は〜内!」
さあ!今夜は思いっきり鬼退治の豆まきをしよう
(2月3日)
立春
暦の上では今日から春
外に出れば風が暖かさを運んで来る
ためらいながら・・・ためらいながら・・・
本当の春は少しずつやって来る
高い木にたくさんの白い鈴を見つけた
嬉しそうに空を相手に笑っているようだった
季節はゆっくりと変わり始める
(2月4日)
(2月5日)
やすらぎ
公園で素敵なご夫婦に出会った
「 お写真撮らせてくださいませんか?」
とお願いしたら 快く承諾してくださった
陽だまりのベンチに腰を下ろして
何を語り合うでもなく 二人で道行く人を見ていた
ぎこちない沈黙ではなく 二人でいることで
やすらぎを感じられているようだった
長い道のりを共に歩いて来られたのだろう
久しぶりに素敵な紳士と淑女に出会った
同じ想い
窓から見た月があまりにも綺麗だったから
あなたに写メールを送った
「 綺麗だね 」 ってすぐに返事が返って来た
離れていても同じ月を見ながら話せる幸せ
同じ地球にいられる幸せ
これ以上 何を望むことがあるだろう
「 綺麗だね 」 と・・・この瞬間
あなたと同じ想いを共有したではないか
(2月6日)
(2月7日)
青春の涙
母校のグランドはいくつになっても懐かしい
寒い中 野球部が自主トレをしていた
その光景を見て青春の日々が蘇ってきた
第42回選抜高校野球での優勝
6万人の大観衆で埋まった甲子園球場
延長12回の裏 4対4で迎えた
二死三塁の好機にエースが右前に
決勝打を放った
アルプススタンドで一瞬
時間が止まったような錯覚をした
4時間15分の熱戦にピリオドが打たれた
涙しか出てこなかった
選手も観客も涙で顔がくちゃくちゃになった
(2月8日)
針供養
お針箱にある針を全部出して
今日は針供養をしてあげよう
「 一年間 ご苦労さま 」
ボタン付けや洋服のほころび
パッチワークに小物作り
ずいぶん私を助けてくれたし
夢の創作に力を貸してくれた
今日は一日ここでお休み
また明日から私を助けておくれ
君たちには本当に感謝している
(2月9日)
会いたい
どうしてもあなたに会いたい
春が来たら会おうって約束したよね
もう立春は過ぎた
これからはるか号に乗るわ
溢れる想いを受け止めて
お願い! 待っていてください
いつもの空港の到着ロビーで
愛しの娘へ
前倒しにした仕事を全部消化して
11日間の休暇を取った娘が異国へと旅立った
一年に何度か訪れる仕事のスランプ
現代っ子は旅することで復活させる
そしてまた乗り越えて戻ってくる
四人家族は誰一人留守をしても寂しい
無事の帰国を祈りながら私は娘を見送った
(2月10日)