文月・ 2
砂時計   (7月16日)

   この砂の落ちるのを止めた時、
  時間は止まるのだろうか。
  幸せな時間なら、もっとゆっくりと願い、
  悲しい時間なら、もっと早くと願う。
  けれど人間模様とは関係なく、
  切ないほどの速さで砂が落ちてゆく。
  人生もまたこの砂時計のように流れてゆく。
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ピアノ   (7月20日)

   何年ぶりかでピアノを弾いた。
  鍵盤の冷たさが 指に心地よい。
  指はもう以前のように動かない。
  それでも弾きたい曲があって、ゆっくりと
  弾いてみる。
  まだまだ時間がかかりそう。
  まだまだ時間はたっぷりとある。
  ひとつのことが終われば、また新しい
  何かを見つける。 
  そんな自分に笑っている。
ケーキセラピー   (7月23日)

   私が無性にケーキを食べたいと思う時は
  要注意の時である。 疲れている時が大半。
  体の疲れは一晩ぐっすり眠ればたいてい回復。
  でも精神的な疲れはなかなか治らない。
  昨日のことは今日に持ち込まない主義の私だが
  それがかえって心に負担をかけているのかもしれない。
  ケーキを食べたいと思ったら、即 買いに行く。
  そしてリッチなブレンドティーで頂く。
  不思議なくらい元気になる。
  自分の為に特別な時間を過ごすことで、
  心も体も驚くくらいに回復していく。
  
夏祭り   (7月24日)

   紺に朝顔模様の浴衣を母に着せてもらった。
  赤い鼻緒の下駄を履き、うちわを二本持った。 そして二人で出かけた。
  覚えていますか?
  金魚すくいをしたこと。 りんご飴を食べて、いちごミルクのかき氷を食べて、
  輪投げをして、ヨーヨーつりをしたこと。
  そしていつもと違う浴衣姿の私に 「キレイだ」と言ったこと。
  遠い記憶の中での夏祭り。
飛行機雲   (7月26日)

  「ねぇ 飛行機雲を見つけたよ 
   青い空に一直線に伸びていったよ」

  「私の気持ちをこの雲に載せたよ
   あなたを想う気持ちを雲に載せたよ」

  「この雲はあなたの街まで続いているはず
   青いリボンでしっかり結んだよ
   私の気持ち 受け取って 
   ねぇ きっとだよ」
   
蝉   (7月28日)

   産卵の年から数えると7年目にようやく成虫になる蝉。 
  幼虫は土の中に孔道を掘って、真っ暗闇の中で7年の歳月を過ごす。 
  何を思いながら土の中にいるのだろうか。
  夏の大空を飛びまわる夢をみているのだろうか。 それとも命の限りに鳴いて、
  夏の到来を知らせようと意気込んでいるのだろうか。 
  抜け殻をはいで、やっと成虫になった蝉の命はわずか一週間。
  長い年月を土の中で眠り続けていた割には、引き合わない短い命。
  それは神様が決められた摂理だとしたら、せめて精一杯 夏の太陽の下で
  生かせてやりたいし、鳴かせてやりたい。
           花火

空に打ち上げられた花火は 私の一夜の想い

一瞬に咲いて散るのは 私の儚い想い

胸の奥深くに響く花火音は 私の激しい想い

今夜だけは 燃え尽きるように輝いて
その花姿を あなたの心に映したい
                      
                  マドンナ (7月30日)