神無月・2
    10メートル以内に飛んで来た!

憧れの飛行機はいつも遠くにいて手が届かない。
その距離を埋めることは永遠に出来なくて
私はこれから先も片思いを続ける。
そんな私の許に飛行機が飛んで来た。
私を目がけて10メートル以内にまで飛んで来た。
こんなに近くに・・・
こんなに体当たりするかのように・・・
こんなにまっしぐらに飛んで来た。
たとえ偽りの飛行機であっても
嬉しくて ドキドキが止まらなかった。
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(10月11日)
       待っている未来は・・・

この回廊を渡ると待っている未来がある。
灯りに照らされた回廊の終着駅は
夢のようなエルドラドかもしれないし
夜叉の棲む谷底かもしれない。

私をここに乗せて来た列車は帰ってしまった。
そして片道切符しか持ち合わせていない。
もう 後戻りは出来ない。

確率は五分五分。

気持ち次第でエルドラドにもなれば谷底にもなる。
思い切って踏み出そう。
終着駅に今 あの人の幻影を見た。
(10月13日)
        懐かしい味

私には昔ながらの懐かしい三つの味がある。
昔から好きで・・・ 
そして今も変わらず大好きで・・・
お出かけする時にカバンに忍ばせている。
私の幼友達のような存在で、何となく落ち着く。
私の魔除けでもあり、心のセラピーでもある。
(10月14日)
        瑠璃色の空

夜を受け入れ始めるほんの短い時間
空が瑠璃色に変わる時がある。
私が一瞬 地球が止まったと錯覚するときである。
そしてその時間を境に、少しずつ闇に包まれ始める。
やがて金色の月と銀色の星が夜空に輝いて
金と銀の灯りが交差しながら下界を照らし始める。
空のスライドショー ・・・
やはり天の神様が創られたものなのか。
(10月15日)
(10月16日)
       初めての蝶

動いている被写体を撮るのは苦手だ。
離着陸の時の飛行機、我が家の猫たち
そして鳥や昆虫。
シャッターチャンスをいつも逃してしまう。
「被写体に恋をしなさい。
 息を止めて撮ってみなさい」と
教えてくれた人がいた。
それ程気構えなければ、動きを追って撮れない。
野あざみにとまった蝶
私はこの時 蝶に言った。
「もし あなたを撮らしてくれたなら
 私は永遠にあなたの恋人になろう」 と。
蝶に恋をした私はその日から蝶のとりこになった。
       秋の鴨川

「 ねぇ 次の日曜日はどこへ行く? 」

「 紅葉もまだ早いし、ちょっと二人で調べよう 」

「 大阪なら難波パークス。 神戸なら北野 」

「 USJはどう? 」

「 ワォー! 行きたいよ。 ジュラシックパークで
  ビューンって盛り上がろう 」

「 そろそろ午後の講義が始まるよ 」

「 うん! 午後は私は人類学 」

「 俺はマクロ経済学。 さあキャンパスに戻ろう 」

 
(10月17日)
         見送り

ハッピーな朝  とても憂鬱な朝

いろんな朝があるけれど
家族が出かけて行く時
必ず玄関の戸を開けて
笑顔で 「 行ってらっしゃい 」 を言う

どんな朝を迎えても
一日の始まりには昨日をリセットする
そして新しいページを家族のために用意する

後ろ姿に家族の安全を祈り
神様に合掌する

なんのとりえもない私が
こだわりながら継続してきた朝の見送り

これだけは神様から
優秀賞を頂けると確信している
(10月19日)
       あなたの傍で・・・

ふるさとの阿寒湖をあとにあなたの許に来たわ
今日から私のおうちはここなのね

朝陽のあたる小さな窓辺が私たちのギャラリーね
あなたと一緒にいられるなんて私はやっぱり幸せよ

明日も 明後日も 来年も 再来年も ・・・
ずっとずっとあなたの傍にいるわ

もう決して離れないし あなたを放さない
ずっとこうして私を見守っていてね 
(10月20日)