南禅寺・京都
京都五大の上に位置づけされる格式の高いお寺である。
東山を借景に紅葉を見渡せば、あまりの美しさに目を奪われる。
三門から見下ろすもみじの朱色は、石川五右衛門の
「 絶景かな 絶景かな 」 のセリフを思い出す。
天授庵の枯山水、池泉回遊式庭園の紅葉も見ごたえがあり
巨大な赤煉瓦の水路閣ではゆっくり歩きながら秋の風情が楽しめる。
永観堂・京都
古今集に 「 秋はもみじの永観堂 」 と詠まれたほどの名所で
千年余りの時が流れても、今なお変わらぬ情緒をみせてくれる。
弁天池に映し出されるもみじや多宝塔から見下ろす景色は
まるで真紅のじゅうたんを敷きつめたようで息をのむ。
本堂と開山堂、多宝堂が臥竜廊という回廊で結ばれて
他の諸堂へも続いている。
本尊の 「 みかえり阿弥陀 」 の慈愛に満ちたお顔が
訪れた人々の心を打つ。
清水寺・京都
清水寺の舞台から見下ろす秋に染まった京の街は
春に霞んでいた風景と違って、空は高く町並みがくっきりと
浮かび上がる。
清水寺の見どころは139本の柱を組み合わせ
断崖に張り出した舞台造り。
これが有名な 「 清水の舞台 」 かと、誰もがここに立った時に思う。
国宝の本堂はもとより 「 音羽の滝 」 など見どころも多いが
真っ赤に色づく千本もみじは圧巻だ。
高台寺・京都
北政所・ねねが豊臣秀吉の菩提を弔うために建てられた寺で
徳川家康が政治的配慮から多大な財政援助をしたので
当時の寺院は壮麗をきわめたという。
けれど度重なる火災により、その多くを失ったが
現在残っているのは、開山堂、霊屋、傘亭、時雨亭、表門
観月台のみで、いずれも国の重要文化財に指定されている。
臥龍池の水面に映し出された紅葉は
一瞬ねねがそこにいるのかと思うほど神秘的で美しい。
室生寺・奈良
室生川にかかる赤い欄干の太鼓橋を渡ると
「 女人高野室生寺 」 がある。
女人禁制の高野山に対して、女人に門戸を開いた室生寺は
その後も女性の信仰を集めた。
シャクナゲやハナズオウの花の季節とは趣が違うが
紅葉の頃もまた女人の寺にふさわしく、しっとりとした風情がある。
一段また一段と階段をのぼっていく。
本堂、金堂、五重塔、そして奥の院へ。
奥の院までの450段の階段をのぼる時
救いを求めて駆け込んだ女人の心情を思った。
見上げれば目のさめるような紅葉。
そろそろここにも冬の足音が聞こえてくる頃だ。
奈良公園
古都・奈良を訪れる時、まず足が向くのが奈良公園。
長い歴史と広大な広さの公園は、この町の日常の中にある。
柵(さく)もなければ塀もない。
どこからが公園の敷地なのかわからない。
バリアフリーで人々の心とつながっている。
この公園で四季を愛で、憩いを求め気軽に足を踏み入れる。
歴史的建造物が建ち並び、博物館や美術館も
すっかり公園の一部である。
人に慣れた鹿たちが観光客相手に愛嬌を振りまく。
妻を恋して鳴く鹿と、燃えるような紅葉は絵よりも美しい錦秋の秋。
御堂筋の銀杏・大阪市中央区
秋も深まってくると、毎年のように御堂筋のギンナン落としの
ニュースが全国に流れ、自由に拾っている風景をみて
どれほどの人がうらやましく思っていることか。
このギンナン落しが行われる御堂筋は大阪市の大動脈。
地下には地下鉄御堂筋線がひっきりなしに走っている大阪のど真ん中。
そんな大都会の中心にあっても、のどかな秋の行事が毎年行われる
大阪の粋なはからいは素晴らしい。
この銀杏並木は、淀屋橋から難波間の御堂筋沿いに四列に植えられて
その距離は3,3キロ。 銀杏の数は849本。
夏は青葉で緑の影、秋ははらはらと散る風情が乾いた都会に潤いを与える。
大阪城公園
歴史のドラマを今に伝える天守閣が大空にその雄姿を見せている。
公園の周りには、大阪府庁、NHK、オフィスビルが建ち並び
公園内はたくさんの施設やイベント会場、国の重要文化財が点在する。
早春の梅林、600本のソメイヨシノ、新緑にひときわ映えるヒラドツツジ
そして秋の紅葉、冬の山茶花と、四季折々に季節の装いを楽しませてくれる。
本丸前の銀杏は推定樹齢300年。
そのまばゆいばかりの黄金色のアーチを 時にはジョギングしながら
時には散歩しながら、秋の気配をいっぱいに感じながらくぐり抜ける。
少しずつ落葉が始まった。 師走の足音がすぐそこに聞こえてくる。