March . 3
BGM 「そばにいて」

          おぼろ月夜の思い出


菜の花畑に 入り日薄れ  見わたす山の端 霞ふかし
春風そよ吹く 空を見れば  夕月かかりて 匂い淡し


母さんの歌う「おぼろ月夜」の歌はどこか儚げだった
二人で手を繋いで おぼろ月夜を歌いながら家路へと急いだ

「早く帰らなきゃ陽が暮れる 父さん家で待ってるよ・・・」

あったかい母さんの「手」
私はこの路がいつまでも続くといいなと思いながら歩いた



2008年3月22日は実母の祥月命日です
亡き母を偲んで母の好きだった春の花で
一周忌の追悼のギャラリーを綴ります
アルバムに「母に捧げる花」をアップしました

大阪市立長居植物園 ユキヤナギ  (3月31日)

      白い花を手向けて


最近・・・ 夢に出てくる母さんは
いつも真っ白いエプロンをして笑っている

私が子供の頃 母さんはいつも台所にいた
そして美味しい料理を作ってくれた

白い花をグラスに挿して台所に置く
その空間が母さんのいる場所

「女の城は台所」だと教えてくれた
そのことの本当の意味がわかってきた
私も今 母さんと同じ道を歩いている



大阪市立長居植物園 ナノハナ  (3月29日)

大阪市立長居植物園 チューリップ  (3月30日)

         野に咲く仏さま


この花に「ホトケノザ」という名前が付いたのは
葉姿が仏像を安置する仏座に似ていることから

最近 無性にこの花を接写で撮りたくなる

なぜだかわかる? ・・・・

マクロレンズでこの花を見ると仏さまが見える
葉の上にちょこんと仏さまが座っている

父さんと母さんを天国へ見送った日から
私には仏さまが見えるようになった

          チューリップへの想い


小学校の頃のことはもうあまり覚えていないけれど
今も記憶に残るのは小学一年生の時に描いた一枚の絵

ランドセルを背負った私と真っ赤なチューリップの花
私の描く絵にはいつもチューリップが咲いていた

秋に母さんが植えたチューリップは越冬して春に花開く
それは私へのはなむけの花だったのかもしれない
真っ赤なチューリップが咲くとそんなことを想ってしまう

大阪市立長居植物園 ホトケノザ  (3月28日)

大阪市立長居植物園 ネコヤナギ  (3月27日)

大阪市立長居植物園 オオイヌフグリ  (3月26日)

大阪市立長居植物園 ナズナ  (3月25日)

大阪市立長居植物園 たんぽぽ  (3月24日)

      ネコヤナギの優しさ


ネコヤナギを割ってみた
中から宝石が出てくるような気がして
                 (星野富弘)

ネコヤナギを割ってみた
中からあなたが出てくるような気がして
                 (マドンナ)


ネコヤナギの感触と母の手の感触は同じだ
ネコヤナギを一枝折って ほっぺに触れる

ああ・・・母さんが戻ってきたような気がする

大阪市立長居植物園 侘助椿  (3月23日)

大阪市立長居植物園 ムスカリ  (3月22日)

            蒼い星


いぬふぐり 星のまたたく 如くなり (高浜 虚子)


地上に降り立った蒼い星たちが春を告げてまわる
何千 何万という蒼い星が春の野原で輝いている

夕べ 空から星くずをまいたのはだ〜れ?
黙っていてもわかっているよ

犯人はあなたでしょ?
私にいつもマジックを見せてくれる母さん!




大阪市立長居植物園 クローバー  (3月21日)

    ぺんぺん草の詩


セリ ナズナ ゴギョウ ハコベラ 
ホトケノザ スズナ スズシロ

「春の七草」を歌のように
繰り返し繰り返し教えてくれたのは母

果実が三味線のバチに似ていることから
別名「ぺんぺん草」ともいう

三味線のバチを下向きに引っ張って
でんでん太鼓のように
シャラシャラと音を鳴らしてくれたのは母

母の鳴らすぺんぺん草のでんでん太鼓は
まるで子守唄のように聴こえてきた

         太陽のような花


可憐なすみれ 可愛いれんげ 元気なたんぽぽ
今年も小さな天使たちが春の野に咲き始めた

母さんは元気なたんぽぽが好きだった
たんぽぽは太陽の形をして
太陽が昇ると咲き始め太陽が沈むと花を閉じる

朝は小鳥の声で目を覚まし 一日元気に暮らし
夕方には就寝の準備を始めた母さん

フフフ・・・ 母さんはたんぽぽにそっくりだ
母さんは父さんや兄ちゃんや私の太陽だった

       終焉の時


母さん・・・ 侘助椿が咲いているよ
有田の家の庭でも今頃咲いているね

父さんの好きな花だったけれど
母さんはこの花が嫌いだったね

終焉の時の潔さに心痛める母さんは
地面に落ちた侘助椿を拾い
つくばいに浮かべて延命しようとしたね

そんな母さんなのに・・・
侘助椿の咲く季節にコトンと息切れた

母さんこそが侘助椿のような人だった

         紫の喪服


母さん・・・ あの日から一年が経ったよ
私にとって一生懸命越えて来た一年だった

母さん・・・ 公園の片隅でムスカリを見つけたよ
母さんの野辺の送りの日に葬場に咲いていた花

たくさんのムスカリが紫の喪服を着て
母さんを天国へと送ってくれた

私は哀しくて泣いていると ムスカリたちが
可愛いダンスを披露して私を慰めてくれた

私はこの日からムスカリが好きになった





       四つ葉のクローバー


子供の頃 探せなかった四つ葉のクローバー

「母さん 私 幸せになれないの?」

そんな質問をすると 「ホラホラ ここ ここ」と
母さんが指さしてくれた四つ葉のクローバー
母さんは自分が見つけた幸せを私に摘ませてくれた

それが母親というものなのか
私は母さんが教えてくれた四つ葉のクローバーで
幸せを手に入れることができた

今 私が四つ葉のクローバーを見つけたら
「ホラホラ ここ ここ」と言って娘に指さすだろう

私って母さんの子供だね 
母さんと同じような生き方をしているよ

今月の「マドンナの夢ギャラリー」のBGMは
オズワルド氏作曲のMIDI「そばにいて」です
素敵なMIDIと共にお届けするこのギャラリーは
私からあなたへの愛のメッセージです