今月の「マドンナの夢ギャラリー」のBGMは
オズワルド氏作曲のＭＩＤＩ「Ｌｕｎａ」
素敵なＭＩＤＩと共にお届けするこのギャラリーは
私からあなたへの愛のメッセージです
　　　　　　　　　　　　　　　　　Ｍａｄｏｎｎａ

　　　　　　　　　伝説の川

「ドナウの女王」と呼ばれる美しい古城に
ひとりの召使いがいた

川の畔に来ては水面に向かい独り言をつぶやく
毎日同じ人の名を呼んだ
その名は呼べども呼べども愛しい名であった

野の花を一輪手向けて名を呼ぶと
水面にその人が現れた
冬が来るとなす術もなく花の咲く春を待った

今でもこの川に花を手向けると
願いが叶うという伝説が残る

召使いはやがてこの城の女王となった

　　　　　　　あの人を待つ

コトコトコト・・・・
遠くからあの人の靴音が聴こえる
息を切らせて私の許に帰って来る

男は旅人
いつも少年のように夢を追いかける
冒険好きの少年は私に空白の時間を与える

男は狩人
いつも新しくて斬新なものに目が行く
それを手に入れるための努力を惜しまない

コトコトコト・・・・
遠くからあの人の靴音が聴こえる
最後にあの人の帰る場所はここ

あの人が私の心に還る

「Ｊｕｎｅ.３」のこのページのギャラリーは
友人Ｔakeshiさんと実兄の温かいご厚意により
大切な写真をお借りして掲載しました
素敵なページを創作出来たことを心から感謝しています
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Ｍａｄｏｎｎａ

　　　　　　　雨宿り

１匹の道に迷った蛙が
美しい紫陽花の花に出逢った

ゆらゆらゆら・・・　葉っぱでブランコして
花びらに顔を埋めて優しさと愛しさを知る

雨が降ればカタツムリもやって来て
花びらが大きな傘を差してくれた

道に迷った蛙は天使と出逢ったと思った
天使は雨の季節に生まれるのだと

母の匂いのする雨宿りの花である

　　　　　　　箱舟

１３日の金曜日
オサムとアヤは箱舟に乗り港を出た

羅針盤は夜空に輝く満天の星
さざ波は風の道しるべ

舵（かじ）を取るオールがない
二人は神からの呪文を唱えた

箱舟に積んだリンゴを届けよう
そして早くリンゴを食べさせよう

二人の箱舟を待つ者がいる
愛に飢えたアダムとイヴが待っている

　　　　　　アヤの休日

オサムのいないアヤの日曜日は
ミサへも行かずまるで魂が抜けたドール

アヤの時計は止まったまま
ひとりではアヤの歴史が刻めない

自分を見失わないように
アヤの太陽を感じていたい

アヤが空でオサムが太陽
オサムが空でアヤが太陽

明日にはお互いの空に太陽が昇る
ひとりの時間　愛の深さを感じる休日

　　　　　　　数珠玉の詩

菩提樹の　実で繋げたし　数珠玉は
　　　　　　　　父の形見の　温もりを知る　

古刹訪れて見上げれば菩提樹
揺れる小さな数珠玉たちよ
念仏唱えて天からの教えを請う

やがて数珠玉たちが繋がりて
私の手に授けられし時尊き教えを知る

天が繋げた数珠玉は
私の六道輪廻を静する輪（たずな）

Ｐhoto by Ｔakeshi　　ウィーン　　（６月２７日）
シェーンブルグ宮殿（世界遺産）の中庭とグロリエッタ

　　　　　　　無題

丘の上の広場に行けば
あなたを探せるかもしれないと
私は一人ここに来た

それさえ虚しいことだと風が私に苦笑い
すべてが偽りごと
砂の上に建てた家は音もなく崩れてゆく

あなたが見つからない
あなたが見つからない

想い出を消せる消しゴムがあるならば
すべてを消して白紙に戻そう

涙を拭いて新しい旅立ち

Ｐhoto by Ｔakeshi　　オーストリア
チェスキー・クロムロフの市場にて　　（６月２８日）

　　　　　恋に落ちて

旅先で見つけた可愛いお人形
目が合った瞬間
恋に落ちたように心奪われた

その後は・・・・
抑えきれない衝動に駆られ
どうしもこの子を連れて帰りたい

恋に落ちる時は一瞬
地球の裏側にいても赤い糸は繋がる

　　　　　　時間

大聖堂の鐘が鳴る
街中に時を知らせる鐘の音

喜びも哀しみも愛しさも切なさも
時はすべてを呑み込んで流れ続ける

時間とは命の炎

昨日よりも今日　今日よりも明日
少しずつ命を呑み込んでいる

今日を精一杯生きろよと

鐘が鳴る　鐘が鳴る
ああ・・・　大聖堂の鐘が鳴る

　　　　　　　水中花

あなたと私
浮世ではすれ違うはずだった

あの時鍵をかけ忘れて戻った３分
プログラムされていない３分の誤差が
二人の運命を変えた

恋に落ち　熱き想いを花びらに重ね
水の中でそっと想いを開かせた

水中花　水中花
湖面の水が火照った体を冷やしてくれる