(1月11日)
寒さに耐えかねて
軒下に置いていたシクラメンを部屋の中に入れた
温かい部屋に入れられたシクラメンは
色に明るさと瑞々しさが戻ってきた
きっと寒さに耐えかねていたにちがいない
時々 心が極限に来る時がある
つまりギリギリのところで踏ん張っている自分
堰を切って流れ出す寸前
紙一重の時点にいることを認識する時がある
それを受け止めてくれる友に感謝したい
京都・先斗町 (1月12日)
あなたを見失って
追いかけて追いかけて ここまで来たのに
こんな小さな路地であなたを見失った
「もういいかい?」 「まあだだよ」
子供の頃のかくれんぼでさえ
声をかけ合い気配でわかるのに
言葉ひとつ残さずあなたは消えてしまった
あなたと私
かくれんぼではいつも私が鬼
追いかけて探してまた見失って追いかける
永遠に続く私の片思い
阪急電鉄・ラガールカード (1月13日)
神経衰弱
トランプで神経衰弱というゲームがある
伏せたカードから同じ数字を探し当てるゲームだ
記憶力を測るもので簡単なようだがなかなか難しい
あなたはたくさんの中から
自分に一番相応しい人を見つけられますか?
めぐり合いとは多くの偶然の中から生まれた必然
今のあなたに必要なのは
助けてくれる人ではなく 許してくれる人だ
伏せたカードを探し当てるより難しいかもしれない
若者の街
「エリカやサチたち三角公園で待ってるってさ」
「たこ焼き食べながらダベろうよ」
「あと買い物してさ 夜になったらクラブに行こう」
難波・アメリカ村では
20歳前後の若者たちが大勢たむろする
どうしてこんなに若者の心を惹きつけるのだろう?
ipod でMIDIを聴きながら 携帯電話で話をする
青春を謳歌する若者たちの溢れる街
この街に来るといつも若者の脈拍が感じられる
アメリカ村・Big Step (1月14日)
阿部野神社 (1月15日)
どんど焼き
昨夜 神事が行われ
午後7時 お焚き上げに点火された
高く積まれた木や青竹に火が入ると
勢いよくポンポンと音をたてて燃え上がり
闇夜を真っ赤に染めた
今日は早朝より夕刻までどんど焼きが行われる
それぞれの家庭の正月飾りが炎になり
その傍らで無病息災を祈る人々が合掌する
新阪急ホテル (1月16日)
アリとキリギリス
冬が来る前にせっせと食べものを集めたアリ
先のことなど何も考えずに
毎日遊んで暮らしていたキリギリス
今夜はアリがキリギリスを招待した
餓えたキリギリスは
フルーツや木の実やワインに舌鼓を打った
こんな真冬にここはなんて暖かいのだろう
厳しい寒さの中を越冬するには
積み重ねられた勤勉と努力と知恵が必要
人もまた同じく・・・
幸せの確保は
日々 ひたむきなほどの積み重ねが必要
関西国際空港・展望デッキ (1月17日)
鎮魂の鐘
1995年1月17日 午前5時46分
突然 悪魔が神戸の街をのみ込んだ
あれから10年が過ぎた
神戸では6433羽の折鶴で作られた
「新たな出発」という絵が犠牲者に捧げられた
鎮魂の鐘が鳴り 神戸の夜明けにこだまする
懸命な復興をして来た
がむしゃらな10年だったに違いない
けれど心の復興はこれから10年20年と続く
犠牲者の冥福を祈りながら
今朝は先ず黙祷の朝から始まりたい
大阪城公園 (1月18日)
寒さの中で
公園の池で水鳥が泳いでいた
「冷たくないの?」
そんな声をかけたら私を振り返った
列島はこれから大寒を迎え
立春までの二週間 最も寒い季節の中にいる
水鳥に負けないように
私も元気よく外へ飛び出して行こう
そして今日という日を大切に生きよう
私の人生の砂時計は
今日も止まることなくこぼれ落ちている
ル・クロ (1月19日)
50 / 50
温かいスープがある
ひとつは飲むと願いが叶うという
そしてもうひとつは飲むと不幸になるというスープ
あなたは今このスープを飲む勇気がありますか?
こんな50/50の選択なんて怖いくて出来ないと思う
けれど私たちは知らず知らずのうちに
二者択一しているのだ
人生にはいつも分かれ道があって
私たちは50/50の確率で幸せを選択しているのだ
土佐堀川 (1月20日)
あなたを受け止めて
夜のしじまの中であなたの心模様を映し出す
決して胸の内を明かさぬあなたが
静寂の中で闇に包まれた瞬間だけ衣を脱ぐ
こんなにも不安定でこんなにも震えていて
こんなにも打ちのめされて泣いている
私があなたの川となってどこまでも流れてゆこう
あなたが安らげるように何も聞かず何も語らず
私はあなたの望む川になりたい
そして不安で震えているあなたを
まるごと受け止めたい